稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

風の電話

ただいま新幹線の中。暇なので・・以前書き留めておいた感想など。

『風の電話』諏訪敦彦

kazenodenwa.comこれも最初に観たときとちょっと感想が変わりつつある。ただただ感心してこんなに入ってない(観客が少ない)のはあまりに惜しい。もっとたくさんの人に見て欲しいと吠えたい気持ちだったけど(まあ、できるだけたくさんの人にこのホンモノの映画を味わって欲しいというのはいまでも変わらないが)。
途中で、この映画に出てくる家族たち、どの家族もどの家族も欠損を抱えていることに気づくのだが、そのとき不意に、「完全な家族」が目の前に現れる奇跡の美しい瞬間・・。そして震災の傷痕を遺した現地での、その「完全な家族」の全き不在が映りこんでいるかのような、光に満ちた美しいシーン・・そして俳優たちの繊細この上ない演技・・というよりその時その時のたたずまい
特にモトーラ世理奈ちゃん、ようやったなと思います。しんどかっただろうなぁ・・と。残念ながら『少女邂逅』見てないけど、何で見たんだっけか?不思議な存在感の子やなぁと思ってたけど・・。
「風の電話」の存在は以前から知っていて、なんかのドキュメンタリーで見たんだっけか? それともなんかの劇映画かドラマかで使われていたんだっけか? それはともかくこの題材を扱うのに考えうる限り最良の監督の、素晴らしい演出だったと思います。

『ジョジョ・ラビット』など

で、3末から4初にかけては、シチリア旅行に代わって、青春18きっぷ使う春の旅を早々に計画しまくりました(旅行計画をあれこれ考えたり調べたりしてるときが一番楽しい)。今回は、ひとところをずっと長く周るのでなく、以前からあそこに行きたいな、行くなら青春18きっぷ使って・・と思ってたところを切れぎれに3箇所。5回分しっかり使い切る予定です。1箇所などは、行きと帰りを飛行機で距離稼いで、行った先で鉄道に乗るという・・ちと本末転倒かなとも思いつつ、全部鉄道にするとそれだけ宿泊費が嵩むため、いまだと比較的安いチケットもある飛行機の方が時間もお金も節約できるかな・・と。

明日からは映画見るためだけの東京旅ーー主要目的は新文芸坐のシャブロル特集です。ホントはぜんぶ見たい。できれば関西に持ってきて欲しいのだけど、とりあえず1本だけ初参加するか・・と。その次、2末から3初にかけては携帯電波の届かないところへお籠りを予定しておるし、国内の旅が続くな・・。

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映画の感想もたまってる・・メモだけはしているのだけど。Twitterでその都度その都度短い感想を呟けばいいやんとも思うのだけど・・。しかしこういうケースもあるので。

ジョジョ・ラビット』' Jojo Rabbit ' Dir:Taika Waititi

en.wikipedia.org途中でウェス・アンダーソンみたいやなとふと感じつつ、いやウェス・アンダーソンがこれを作れるはずがないと気づく。
タイカ・ワイティティTaika Waititiというマウイの名を持ちCohenというユダヤ系の名を持ちヨーロッパの血がさまざま混じってて、しかも本人自身が空想のヒットラーを堂々と演じることができる・・この監督でなければ・・と。しかしそのことがまさに、引っかかる点でもあるのかな?
観た直後は靴と靴紐のモチーフなどなるほど〜と思わせ、冒頭のドイツ語版ビートルズ、ラストのドイツ語版デヴィッド・ボウイなども使い方うまくて感心しきりだったものの、日が経つにつれてなんだか嫌いになってきた。(こういうのってある。観た直後とだんだん感想が変わってくる映画。良い方も悪い方もあるが)。
なんつーかね。母親がああいう目に遭って息子を一人で置いといてくれるだろうか?とか、周囲がさんざ爆撃されても主人公の家だけ無事だったりとか、ちょっとこれは・・という婉曲があったりして。決して消化してはならない、消化しえないものを、消化しやすいよう口当たりよくしてしまっただけちゃん?という疑問が・・。

おじゃん

新型コロナウィルスのせいで3月末から4月初めに予定していたシチリア旅行がおじゃん(死語?)になってしまった・・。
中国国際航空の北京乗継便を予定してたので、どうしよっかなぁ・・それまでにウィルスが制圧されてればいいけど・・とか思ってたら、早々に航空会社自身がそれまでには終熄しないと判断したか、北京ローマ便が行きも帰りもキャンセルになってしもた・・。別の航空会社使う手はあるが、お高いし、もしまだ終熄してないとすれば、下手にヨーロッパ行って東洋人の顔してるだけで差別されるのも嫌だしな・・と。ここは素直に天の声に従っておくことにします。
香港の空港閉鎖と台風のせいで二度に渡って飛行機飛ばなかった去年の夏と比べると、今回は早めに告知してくれたおかげで、飛行機代も宿代も全額戻ってくるし。
代わりにこの春は、青春18きっぷ使って国内旅行しようかなと考え中。

サイレンス

室内オペラ「サイレンス」アレクサンドル・デスプラ Alexandre Desplat

室内オペラ「サイレンス」〈日本初演〉 | ロームシアター京都

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川端康成の小説『沈黙』をモチーフにした現代オペラ。弦楽器と木管楽器(いろんな大きさのフルートとクラリネット)編成のシンプルな音楽も良かったしオリエンタリズムにならない程度に日本的なるものを援用した美術や衣装なども良かったし歌と芝居も完成度高かった。(日本女性の魅力を語る場面で背後に『雪国』の映像が流れるのは・・ぴったり過ぎるのかなんなのか・・)。面白かったのはすべてフランス語のセリフの中で「カタカナ」とそこだけ日本語で発音される語のk音とt音がすごく厳しく耳に響くのと、「水」の「ミ」、「茶」の「チ」のカタカナを毛筆に墨をつけて立てかけた白い紙に書くという場面があるのだが、そこではフランス語のeau(水)が同音のアルファベットの「o」で記され、同じくthé(茶)が「t」で記され、二つのアルファベットが漢字の「子」のもとの字、またはメスのマークに見えるという・・
もう京都公演も東京公演も終わってからこれを記すのも手遅れなのかもしれないが。

ドン・キホーテ

テリー・ギリアムドン・キホーテ』'The Man Who Killed Don Quixote'  Dir: Terry Gilliam

en.wikipedia.org

映画「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」公式サイト

なんのこたないアダム・ドライヴァーAdam Driverが主人公やん・・。テリー・ギリアムTerry Gilliamの狂いっぷりを昔っから知ってるファンには嬉しいギリアムらしい奇想の洪水。それでもちゃんと経糸(たていと)が繋がっていてあちこち寄り道しながらもクライマックスへラストへと雪崩れこんでいく・・普通に楽しめました。
それにしてもアダムくんの近年乗ってること!「サタデー・ナイト・ライブ」でやったらしいカイロ・レンのパロディ・コントも楽しかったし、今回のもやはりしれっとした顔してお間抜けなコメディを飄々と演じるかと思たら、ギリアムの夢想の世界を狂おしく演じて・・。監督の永遠のヒーローたる(従って老いたりといえそのまんまの老いそのものが永遠の若さともいえる)ジョナサン・プライスJonathan Pryceとのコンビも良かったね!

追記:アダムくん、ジム・ジャームッシュの撮ってるゾンビ映画の主役も張ってるんですって!? もう楽しみでしかない!!

ドキュメンタリー映画3題

『水と砂糖のように』Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita
regia di: Fariborz Kamkari

Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita (2016) - IMDb

タイトルとなっている水と砂糖のエピソードは終盤に明らかになる。そういえば・・わたしも幼かった頃、昔の台所には白砂糖とざらめ糖と黒砂糖の3つの砂糖壺があって、おばあちゃんに頼んで舐めさせてもらった記憶がある。(母は父とともにお店に出てたので祖母が台所番と子守役)。昔の子守は「水と砂糖」を子どもに与えておけばよかったのだ。誰が誰の子守をしてたかは、本編を観てね。
撮影監督としてイタリアだけでなく世界からリスペクトされているカルロ・ディ・パルマ Carlo Di Palmaのドキュメンタリー。その撮影技術を解き明かすWoody Allen ウッディ・アレンなどの証言はもちろん、ケン・ローチ Ken Loach 、ベルナルド・ベルトリッチ Bernardo Bertolucci や、さまざまな(豪華な)映画人の証言から、その人となりや撮影現場のようすが生き生きと語られる・・。あまり宣伝が行き届いていないのか?(この邦題ではなんだかわからないもんね)劇場で鑑賞したとき観客わたし一人という事態に遭遇した。もったいない!

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あとの二本は宣伝行き届いているのか、あるいは話題になっているのか、結構お客さん入ってました。
『つつんで、ひらいて』広瀬奈々子

映画『つつんで、ひらいて』公式サイト

装幀家菊地信義のドキュメンタリー。わたしがよく本買ってた頃の本はよく記憶に残っていて、ああ懐かしいなぁ・・あるときからあまりに家に本が増え過ぎるのでいったん整理して後はあまり買わなくなったのだけど、それ以降の本は画面で見てもあまり記憶にない。でも、菊地さんの装幀にはタイポグラフィの美しさなどあるはっきりした特徴があって、それと見分けることができる。
また紙の本、買いたくなりました。(図書館で借りるのでなく)。紙を触ったり折ったり切ったり貼ったり・・画面から紙の肌ざわりが感じられるような映画でした。
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『さよならテレビ』ひじ方宏史(「ひじ」は「土」に点のついた字)

映画『さよならテレビ』公式サイト

テレビ界の自画像とうたいつつ、日本のあらゆる仕事の現場を映しているようで、しかも、ドキュメンタリーという制作の構え自体を揺るがしてみせる、怖い映画です。事実と虚構、ドキュメンタリーとストーリー、観る側の構えも問われているな。
ボーッと観ていながら「ああ、こいつ使えねえな」とか「ここ貫いてほしいな」とか、監督はじめ製作陣や主要人物3人の「抵抗」となる組織や周辺の人たち(聞こえてくる声を聴き逃さないようにね)にも、ある感慨を持ちつつ観ていて、その感慨じたい、どこから来るんだろうかと考えさせられる。

とどこおり

年明けすぐ携帯を持ち換え、キャリアも乗り換えた。また家のテレビ環境も変え、WOWOWやCSを解約、無料の(マンションに初めから引いてある)BSと地デジのみにし、そのかわりついにというか仕方なくというかNetflixの軍門に降ってしまった。おニューのiPhone買うたのでApple TVがタダで1年間見られるはずなのだが折角だし小さな画面で見たくない!ところが家のテレビに挿してあるFire Stickは古いせいだかなんだかApple TVのアプリが入ってないのだった・・。なんとかする方法はないのだろうか・・???
そういうわけで(だからというわけではないのだが)お正月の放心から覚めたあとのインプットの洪水がものすごく、良い映画たくさん見たし良い音楽もたくさん聴いたしいちいち書きたいのだけど書き留めておく暇がない。家に帰るとNetflixでしか見られないコンテンツをとにかく見ようとなんだか余裕ない状態。おまけに知らんまに創作ブログ(jaja)に今度書こうとしていた下書きがどういうわけかいつの間にかどこかへ消えていて・・ちょっとショックは大きいのであった・・。
以上、ブログの更新が滞っている言い訳です。そのうち復活しますので期待せずにお待ちください。