稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

女のファンタジー/男のファンタジー/恋愛の倫理

(これは今日みたやつじゃなくて随分前に下書きだけ書きさしてほっといてたもの)
幼い頃より少女マンガ、少年マンガで育って来たので、少女マンガの世界は少女のファンタジー(妄想?)やなぁ(そしてレディスコミックの世界は女のファンタジーやなぁ)・・とよくわかる。ほいで、少年マンガの世界はやっぱり少年のファンタジーかな?(ほかの性別性志向の人々にもそれぞれのファンタジーがあろう)。
いや、それが悪いというのではないのですが・・。
なんかやっぱ「ファンタジー」であって、都合良くて、リアルとはちがうかな?と思う。
で、映画見ててもときどきそれがある。例えばこれ。
『ロマンスドール』タナダユキ

romancedoll.jpこんなふうに愛されるのって女のファンタジーちゃん?
だって、このドール、売れると思います? 男子のみなさま?
これに対して、男のファンタジーやのぉ・・と思ったのがこのフランス映画。ルイ・ガレルが監督した
『パリの恋人たち』L'Homme fidèle Réalisation: Louis Garrel

L'Homme fidèle — Wikipédia

senlis.co.jpひどい目にいっぱい遭うけど、結局 l'homme fidèle(誠実な男・・日本の古文で言うところの「まめ男」ぐらいか・・在原業平みたいな)を貫いて、こんなふうにいい女たちに愛されるのっていいよね。
少年役の子がものすごくいいのだけど、ルイ・ガレル君もお父さんのフィリップ・ガレルの監督作品のなかで、少年時代すごく良い存在感見せてくれてたよね。リリー=ローズ・デップも、お母さんの小悪魔ぶりを受け継いでいるよね。
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これらの作品に対して、これはファンタジーのような甘っちょろい世界ではなく、リアルやなぁ・・と思わせたのが
『冬時間のパリ』Doubles Vies Réalisation: Olivier Assayas

Doubles Vies — Wikipédia

www.transformer.co.jp出てくる人たち人たち造形がしっかりしていて、その関係性が会話やシーンごとの仕草や動作のなかでよく示されている。
人間関係のスパイスもウィットも効いてて大人やなぁと思いますわ。
タイトルは、私小説のテクストに書かれた生と、現実の生と、二重の生ということもあろうし、愛人と妻との二重生活てのもあろう、滑稽のなかに残酷があり意地悪があり身勝手な欲があり真正の?愛があり・・。
ヴァンサン・マケーニュVincent Macaigne 最初に観た『女っ気なし』' Un monde sans femmes ' Guillaume Brac の非モテ男のイメージが強過ぎたせいか、本作みたいに二人の魅力的な熟女から愛されてしまうと不思議な気もするけど、こういうダメでむくつけき男に惹かれてしまう女の気もわかる。
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で、恋愛のリアルだファンタジーだとかといえば、いま日本映画で必ず噂にのぼる今泉力哉という監督は、「恋愛映画の旗手」というのが売りだそうだけど(なんだかそう言われると本人気恥ずかしくない?)、というよりは、恋愛の倫理を描く監督なのかなと思います。それがわたしの個人的な倫理観とフィットするので『愛がなんだ』『his』はOK。しないので『アイネクライネナハトムジーク』『mellow メロウ』はNG。とかって、つまんない映画の見方ですかねぇ・・(笑)。
でも、新作の『街の上で』も期待してます。
あ、と、「恋愛の倫理」と言った場合、恋愛にまつわる社会倫理という意味ではなく、恋愛そのものの中にある倫理のことね。
例えば「不倫」って(イヤな言葉だけど)社会倫理に反する恋愛てことでしょうけど、恋愛そのものの倫理としては至極正しいのよね。今泉監督、このテーマでもまた作ってくださるそうで期待してます。

www.phantom-film.com