稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

新聞記者

カッチリしっかり作られた秀作でした。

shimbunkisha.jpアメリカ映画の新聞記者もの、たとえば
大統領の陰謀』All the President's Men(1976)
    Director: Alan J. Pakula
    Stars: Dustin Hoffman, Robert Redford
ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』The Post (2017)
    Director: Steven Spielberg
   Stars: Meryl Streep, Tom Hanks
『記者たち 衝撃と畏怖の真実』Shock and Awe (2017)
    Director: Rob Reiner
   Stars: Woody Harrelson, James Marsden, Tommy Lee Jones
などが、国家権力と堂々と渡り合い、闘いを貫き通す爽快感があるのに対して、日本の政治ものによくあるけどいかにも陰険で重苦しい権力が圧力として支配し、そのなかでいつも背中をまるめ母国語でない日本語を喋りウサギみたいに円らな瞳を懸命に見開いて信念を貫くシム・ウンギョン심은경だけがこの日本の重苦しい風土に正義の隘路を見出し切り抜けていきそうな存在感を身にまとっているのだが・・ラストは松阪桃李のこのキャラクター造形からしてまぁ想像はついたが、そういうかたちで伏線が張ってあったとはおもわなかった。ハッとさせられました。
政権批判の圧力を恐れていくつかの制作会社に断られたとか、実際に映画に関わった当事者に正体不明の圧力がかかったとか、そもそも原案を提供した望月衣塑子東京新聞記者が菅官房長官に記者会見で回答拒否され日本は独裁国家かとニューヨークタイムズに指摘される始末だったり、そういう話も不気味さを加え、この国はいよいよ治安維持法の時代に戻っていくのかとひしひしと恐ろしい。本作がわりと地味な映画なのにちゃんと映画としてヒットしているということだけが、救いといえば救い。

ちなみに(話もどるけど)ニクソンウォーターゲート疑惑を暴いた二人の記者を描く『大統領の陰謀』の原題 "All the President's Men "はもちろん
Humpty Dumpty sat on a wall
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses,
And all the king's men,
Couldn't put Humpty together again.
というMother Gooseの有名な謎謎唄の一節のもじり。
"All the king's men"というそのもののタイトルの映画(および小説)もありました。
そいえばトランプの顔って四角い型に入れて四角くした卵みたいでもありますね。(こじつけか・・)。
そのトランプを当選させたアメリカ人らも信じられないが、安倍のような頭の悪い超右翼をのさばらせておく日本人らもわけわからんよ。先に書いた独裁国家の顔たる菅は「令和おじさん」とかもてはやされるし…。まるで恐怖映画のように描かれているけど『新聞記者』のなかで田中哲司が口にするセリフに次ぐセリフは実際にそういうこと言って・やってそうな人々がいそうで(いるのか)リアルで怖い。