稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

カラフル・カメレオン

すげえ気色悪い・・『ある船頭の話』

aru-sendou.jpクリストファー・ドイルの撮影、これが香港の街を撮ればまったく違和感ないのに(それに慣らされたせいか?)、見慣れた日本の渓谷を映すと気色悪いこと!特に昼間の光のなかのあの色の洪水!それとワダエミの衣装も気色悪い。ことにヒロインの着る中国風というよりはもっと抽象的なオリエンタルというかアジアンな衣装はなんなの? 登場人物らのセリフ(ことば)も、またその口舌や動作も現代の日本のもので、クレジットに時代考証や所作指導はあるものの不徹底で、これはある具体的な時代の確かに存在した日本の風景への憧憬とかノスタルジアというより、既にオリジナルを欠いた抽象的な幻想の日本の渓谷の、また船頭やマタギ(山の民)や、そこにまつわる残酷なもの(かならず血を流さずにはいられない土着的なもの)の、再・提示というべきなんだろうなぁ・・。それが、脱・国籍(というか脱・土着)的な表現者を目指しているらしい(?)オダギリジョーの是非ともやりたかったことなんだろうなぁ・・。どちらかといえば嫌いな映画ですが、でも、悪くなかったです。なんせ最初の客に細野晴臣ですもんね・・幻想のマタギとしてこの上ない人選ですこと!
ところで、俳優として目立つところに出て来だしたときから既にカタカナの芸名つかって脱土着的なところをアピールしていた(?)オダギリくんですが、中国映画に客演すると 小田切让(譲)(つまりは本名?)となってしまうところも面白いところです。脱国籍・脱土着は、むしろいろんな土着に入りこんでカメレオンみたいに体の色を変えるやつなのかもしれない。Christopher Doyle クリストファー・ドイル(中国名:杜可風)のキャメラもそういう理由から、ことさら過剰に色や光に満ちているのかもしれませんね。

※しかしこのエントリーのタイトル、なんのもじりかわかってくれました?