稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

ドキュメンタリー映画3題

『水と砂糖のように』Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita
regia di: Fariborz Kamkari

Acqua e zucchero: Carlo Di Palma, i colori della vita (2016) - IMDb

タイトルとなっている水と砂糖のエピソードは終盤に明らかになる。そういえば・・わたしも幼かった頃、昔の台所には白砂糖とざらめ糖と黒砂糖の3つの砂糖壺があって、おばあちゃんに頼んで舐めさせてもらった記憶がある。(母は父とともにお店に出てたので祖母が台所番と子守役)。昔の子守は「水と砂糖」を子どもに与えておけばよかったのだ。誰が誰の子守をしてたかは、本編を観てね。
撮影監督としてイタリアだけでなく世界からリスペクトされているカルロ・ディ・パルマ Carlo Di Palmaのドキュメンタリー。その撮影技術を解き明かすWoody Allen ウッディ・アレンなどの証言はもちろん、ケン・ローチ Ken Loach 、ベルナルド・ベルトリッチ Bernardo Bertolucci や、さまざまな(豪華な)映画人の証言から、その人となりや撮影現場のようすが生き生きと語られる・・。あまり宣伝が行き届いていないのか?(この邦題ではなんだかわからないもんね)劇場で鑑賞したとき観客わたし一人という事態に遭遇した。もったいない!

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あとの二本は宣伝行き届いているのか、あるいは話題になっているのか、結構お客さん入ってました。
『つつんで、ひらいて』広瀬奈々子

映画『つつんで、ひらいて』公式サイト

装幀家菊地信義のドキュメンタリー。わたしがよく本買ってた頃の本はよく記憶に残っていて、ああ懐かしいなぁ・・あるときからあまりに家に本が増え過ぎるのでいったん整理して後はあまり買わなくなったのだけど、それ以降の本は画面で見てもあまり記憶にない。でも、菊地さんの装幀にはタイポグラフィの美しさなどあるはっきりした特徴があって、それと見分けることができる。
また紙の本、買いたくなりました。(図書館で借りるのでなく)。紙を触ったり折ったり切ったり貼ったり・・画面から紙の肌ざわりが感じられるような映画でした。
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『さよならテレビ』ひじ方宏史(「ひじ」は「土」に点のついた字)

映画『さよならテレビ』公式サイト

テレビ界の自画像とうたいつつ、日本のあらゆる仕事の現場を映しているようで、しかも、ドキュメンタリーという制作の構え自体を揺るがしてみせる、怖い映画です。事実と虚構、ドキュメンタリーとストーリー、観る側の構えも問われているな。
ボーッと観ていながら「ああ、こいつ使えねえな」とか「ここ貫いてほしいな」とか、監督はじめ製作陣や主要人物3人の「抵抗」となる組織や周辺の人たち(聞こえてくる声を聴き逃さないようにね)にも、ある感慨を持ちつつ観ていて、その感慨じたい、どこから来るんだろうかと考えさせられる。