稍ゝおも

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Gretaと『アド・アストラ』と世代闘争

Greta Thunberg グレタ・トゥーンベリの' How dare you?' 演説ほんまに凄い!思わず涙してしまった。ある意味 Martin Luther King, Jr.の' I have a dream ' 演説と対を成す歴史的演説ではない? あちらは次の世代に夢を託す演説だが、こちらは次の世代から今の世代に異議を突きつけている。

環境問題が階級闘争ならぬ「世代闘争」であることを明白にした。私たち大人は、子どもたちの未来を搾取して、いまのほほんと暮らしていて、経済成長だのなんだのお伽噺を語っているのだ...。

と、そこまできて『アド・アストラ』がなんで宇宙を舞台としなければならなかったことにようやく思い当たった。

en.wikipedia.org

正直言って、見た直後は、なんでJames GrayがこれをわざわざSF映画に仕立てないといけないか、わからなかったのよね。父と子の葛藤を描くのなら、わざわざそれを宇宙を舞台にやらんでも・・って。映画としては、宇宙にかかわるシーンの場面づくり、これまでのあらゆるSF映画の名作を踏まえつつ、丁寧に作ってあるにせよ・・。

でも、なんか、わかった気がする。

よくある宇宙旅行ものの「ワープ」という仕掛けをつかわず、「星へ」海王星という、遠くはあっても「連続的な」距離がつかわれていること、そして月であれ火星であれ、そこにある世界は現在の地球と連続的な時空にあり、そこにいる登場人物も現存人類と連続していること。(それぞれの脇役の登場人物であれ、弱かったり強かったり意思を持ってたりの人物像の描き方がやっぱ上手い。)

息子が自分はselfishであり周囲の人間(とくに身近にいる女性)を苦しめていると悩む。父はそれに輪をかけてselfishで、家族をないがしろにして、いるんだかいないんだかわからない外宇宙の生命体を待ちつづけて宇宙で迷子になってしまっている。そして地球に厄災をもたらしつづけている。

その父と息子のかかわるあらゆるシーンでブラピの繊細な演技の光ること!

また映画の設定全体を通じて「感情的」であることが徹底して封じ込められ「安定した精神状態」を強いられるというのも面白いところね。その安静室みたいな場所も。(このお部屋も先行するあるSF映画を思い起こさせますが・・)。

Gretaさんの見事な「怒り」「涙」を大人の全ては心に留めるべきかと思います。