稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

怒涛の週末?(その1)

今週末は台風が気がかりだ。近畿から中部、関東、どこかを直撃するかたちで日本列島の腹を抉っていくような進路だもんなぁ・・。

で、先週末もけっこう怒涛だったんで、3回に分けて書きます。まず金曜日。

『ジョーカー』は観るつもりでいたけど、仕事で予定外のキャンセルがあり、急いで調べてみたところ『蜜蜂と遠雷』がぴったりはまるのでこちらも観ることにする。(ホントはもっと観たかったものもいくつかあるのだがうまく時間がはまらないせいで見逃してしまう・・こういうの多い)。おかげでTOHOなんばからなんばパークスまで走る羽目になった。なんばパークス、元の大阪球場だけあって広いんだよね。
で、『蜜蜂と遠雷

mitsubachi-enrai-movie.jp期待してなかったけど悪くなかった。予告篇では4人の対決みたいになってるけど、実は一人の主人公に対してあとの3人は触媒。その最後のプロコフィエフに向けて映画の語りがしっかりとしていて、力量のある監督だと思わせた。原作読んでないので「映画化不可能と言われた」部分が何を指してるのかようわからんかったけど、バルトークの馬はともかくショパンの雨だれのイメージなど良かったです。月ときてドビュッシー、'Papermoon'、ベートーベンとくるのは、まあお決まりに過ぎるかな?とも思われたけど。松岡茉優と松阪桃李はやっぱり上手く鈴鹿央士はひたすら初々しく森崎ウィンは派手な役を抑え気味によくやったと思う。(しかし「春と修羅」のカデンツァ、こんな弾き方したらホントは落ちると思うぞ・・。それともこれで音楽的にも説得力あるんでしょうか?音楽に詳しいみなさま?)。ウィンくんや福島ミラは初めて見たのがハリウッド映画だったので、日本映画の中であらためてみると見違えるね。

en.wikipedia.org『ジョーカー』"Joker" はね・・もう、これだけやってくれちゃったら・・。Nat King Cole の 'Smile'と Frank Sinatra の'Send in the clowns', 'That's life' が耳を離れないわ・・思いがけないところで Cream の 'White Room' が流れたと思ったら、Ginger Baker が亡くなるというニュースも同期しましたね・・。
ヴェネツィアの金獅子賞を獲ったとき、『シェイプ・オブ・ウォーター』 "The Shape of Water" に引き続き、コミックが原作の映画がどうのこうのと言われたようだけど、マンガやコミックが原作のものは、物語が単純でキャラクターが色鮮やかなぶん、ユングなんどが言うところの神話の力的なものが見やすく出るのかもしれない・・そういう意味で力強い(人の深層を揺さぶる)イメージの映画ができるのかもしれないなとも思ってました。
ジョーカーはいわば元型なんですよね。人間じゃなく。これは、人間の苦悩の物語ではないんです。主人公にしてもその母親にしてもどこまでがかれの妄想でどこまでが現実かわからない、そういう世界に生きていて(もちろんGotham Cityそのものがアメリカのどこかの時代のどこかの場所に固着して時間の止まった街として今のわたしたちのすぐそばにある)、そんな妄想と現実のはざまに噴出する凄まじい神話的悪役の力を具現化してみせるホアキンくんは、荒ぶる神の神さびた恐ろしい美しさをまとってそこに現れるのでありました。Joaquin Phoenix をもう葉っぱちゃん(Leaf)と呼ぶ人はいないだろうけど、お兄さんのRiver(河くん)について何かのインタビューで触れていたのは感動的でした。