稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

イラン映画2題

年明け早々「軽挙妄動」とはこの謂なりと言いたくなるトランプの言動で世界中が冷や冷やしたけど、イランがとりあえず「報復は必ずやる」という国内向けの顔と「事を大きくしたくない」という世界向けの顔で、死傷者が出ないよう気を使ってイラクの米軍基地を爆撃するという、まあ大人の対応を見せたことで、なんとか大事にならずに済むのか・・と思ったら、最初にニュース聞いたときから思ってたとおりウクライナ機はやっぱりイランの誤爆であるとか・・世界情勢いったいどうなることやら・・トランプとか安倍とか知性のカケラもない政治家に任せといたら・・。
一方この間に見た2本のイラン映画からはイランという国の映画的水準の高さを知らされるのだけれど・・
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『少女は夜明けに夢をみる』Royahaye dame sobh (Starless Dreams)
رؤیاهای دم صبح Mehrdad Oskouei مهرداد اسکویی

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Starless Dreams - Wikipedia

映画『少女は夜明けに夢をみる』オフィシャルサイト

イランの少女更生施設にいる少女たちのドキュメンタリー。彼女らの語る苛酷な体験とそれを語る顔つき・表情・語り口、そして普段の生活をしているときのあどけない表情にいちいち驚嘆させられ、少女たちの生きる力を願わずにおられない。しかし笑顔で出所していく少女たちも、happily ever afterにはならないんだろうなぁ・・と。
これはイランという特殊な環境だからこうというのでなく、世界のあらゆる少女たちがそれぞれの境遇で体験している生きづらさの一つの苛酷な実例であるのだろうけど・・それにしても一人一人の少女の輝く笑顔が眩しい故に辛い。
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『ある女優の不在』3 Faces Dir: Jafar Panahi

سه‌رخ   جعفر پناهی 

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3 Faces - Wikipedia

映画『ある女優の不在』公式サイト

えらい深刻ぶった邦題がついてしまったけれど、決して暗い作品ではない(と言うてる時点で半分ネタバレしてるか)。はらはらドキドキさせながら、ちょっと肩透かし効かせつつ、笑いも含みつつ、イランの現在・・都会(首都テヘラン)と田舎(トルコ語を使っている村?)、ジェンダー、世代(革命以前/以後/さらに以後?)、映画を撮るということ/女優であるということ、をそれぞれの登場人物の辿る道筋・道筋、そこで出会う人々と交わす会話や感情、ちょっとした象徴的なモノ(そのモノが手渡されるだけで笑っちゃうというこちら=観客の構え自体が)・・などなどによって少しずつあらわにしていく・・面白い作品でした。それにしても撮影禁止になってる筈なんだがPanahi監督のそれ自身がトリックスターのような存在として、女優という(ある意味ジェンダーの狭間にある)特殊なありようをよく映している。そこからまたイランが、そして世界が照射される仕組み。