稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

崇と崇史/あるいは東映の血の継承者

なんて憂鬱な3月の始まり!仕事がいくつかキャンセル。いくつかの美術館に引き続き図書館も休館。春場所無観客試合だとか。行きつけのジムは楽しみにしてるスタジオプログラムが休止。マシンジムとプールは利用可能だけど、ここは自主判断で3月いっぱい休会。大阪・京橋のライブハウスで感染者が出たのは残念だけどそこに来ていた100人が(ましてや大阪全部が/ライブハウスが)危険であるかのような言い方はやめてほしい。・・なんかジワジワ追い詰められてる感じがするな。

商店街を歩けばどのドラッグストアも空っぽのトイレットペーパーの棚。「紙不足はデマです」とか貼ってあってもこれ。いったいどういう人たちが買い占めていくんだろうか・・顔が見てみたいわ。この民度の低さ! ウイルスの感染自体はいつか書いたとおり手洗いとかには注意しつつ健康体の当方としてはあまり心配していないが、怖いのは「人」。ヨーロッパではアジア系の顔してるだけで「コロナ」とか悪罵を投げつけられるらしい。日本では幾人かの知人までもが中国人を悪しざまに罵るのを聞いてすごく悲しい。中国人一人ひとりが悪いんでもないでしょうに・・。ただまあ、この際、野生動物でも何でもかんでも食べる習慣はこの先控えてもらった方がいいとは思うけど・・昔なら(各地の風土風俗習慣の引き起こす)風土病で済んでたものが、こんなふうにあっという間に地球の隅々まで広がってしまう時代なんだから・・。

武漢新型肺炎が出てるってニュースを初めて聞いたのはいつだっけ?なんかその瞬間を覚えてる。あれ?これって・・と思てるまに暫くそのニュースは消えて、それから次にそのニュースを耳にしてからはあれよあれよとこの展開・・。

とにかくひとまずは皆が正気に戻ることを祈りますわ。正気になって正しく怖がりましょうよ。日常生活は送りましょうよ。文化イベントは中止にしないで楽しみましょうよ!(今日になって野田秀樹さんがメッセージ出してたな。激しく同意でございます。)そのあとの世界不況が心配ではあるが・・。

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昨日はまったくそんな意図なしに「霊」つながりの映画鑑賞でした。

まずは『犬鳴村』清水崇

映画『犬鳴村』公式サイト

呪怨』シリーズ『こどもつかい』からここに至る清水節満載で全体の画面のトーンとか子どもの使い方とか、背後を横切る影とか画面の隅に映る嫌なものとか、足元から湧き出てくる(?)変なものとか(ちょっと笑っちゃうとこもあったけど)。現実の心霊スポットを舞台にしてるらしいけどプロットもよくできていた。

このあとに見たのが音楽と映画を結びつける企画

MOOSIC LAB 2019 – 暗闇で目を凝らせ、耳を澄ませ。そこから見える私たちの現在地。

の中から『ソウル・ミュージック』副島正紀と『眠る虫』金子由里奈

『犬鳴村』でも霊たちが歌うのだが、この2作品も霊が歌うお話でした。特に前者の設定が、歌う幽霊を求めて山奥の廃村に分け入っていき変なものに出会う、その設定が『犬鳴村』に似ていて笑った。重要なツールになってる幽霊の声を集める装置は、そういえばその筋では(どの筋?)では夙に(つとに)知られているマシンであることも思い出した。当然幽霊とのセッションはみごとに成功し(予定調和的ではあったけど)、ラストに流れます。後者はもっと詩的に霊が、というより死者が歌う。ちょっといい感じでした。

で、今日になってからはやっぱりつながってる感じで『初恋』三池崇史

映画『初恋』オフィシャルサイト

グロいとこ残酷なとこたくさんあるんだけどもう美的に突き抜けていて見事!笑いどころもいっぱいある、小さな伏線もいっぱいある、もっと狂犬的な役もできる窪田正孝にあえて純真さと初恋の甘さを割り振り、それを包みこむように、いつもの兇暴な三池節が炸裂し全編に強度が漲っていて、これぞ映画!って感じでした。全体の色調も映像のルックスも運動もヤクザの美学もこれぞ正しき東映映画の継承者? いや破壊しつつ脱構築しつつ継承? いや、もちろん『犬鳴村』のトーンも、血腥い殺戮シーンも、正しく東映の継承者かもしれないけれど・・。