稍ゝおも

ややおもしろく、ややおもたく、jajaのJa,Ja,おもうこと

美術館通い

美術館通いが続く。
一昨日は中之島香雪美術館。もとの香雪美術館は知っててここに分館ができたのも知ってたけど、ちょうどコロナ禍のせいで当時持ってた招待券を無駄にしてしまったことがあり、今回初めて訪れることになる。コレクションの中から茶器や絵画の名品展。わたしは茶の湯の嗜みがなく、その文化にまつわる固有名詞についても不案内なので、なにが貴重で何がそうでないかはとんとわからないのだけど、それぞれの「もの」のたたずまいだけは、わかるような気がする。佳い展示でした。それと、ここのコレクションのもとになった朝日新聞社主・村山龍平について。ちょうど七藝でタゴールの歌についてのちょっと良い映画をやっているが(『タゴールソング』)そのタゴールが来日したとき、村山邸に招かれてお茶会をやったのね。よく考えるとそう驚くことでもないかもしれないけど、なんだかちょっと感慨がありました。
そして、昨日は金沢まで。既に予約してあったので、大雨大風でサンダーバードが止まったらどうしよう?と心配したけど、北陸路は大したことがなかったようで、無事に行けてよかった。金沢21世紀美術館内藤礼「うつしあう創造」展。ものすごく繊細な作品を作る作家なので、よくよく注意して見ないと作品の存在まで見落とすかもしれない展示だったけど、白を基調にした建物やお部屋のなかで、庭を吹き抜ける風、雲の多い空から漏れる日光、部屋の中にいる複数の人々の気配や、わたし自身の動き・息、電熱器で温められたわずかな空気の動き、滴る水、それぞれを敏感に受け止める展示がすごく良かった。ちょうど夕方の時間帯に行ったおかげで、自然光の中での展示と、夕方5時以降、照明が変わり小さな太陽に灯がついてからの展示と、二度味わえておトクでした。「5時から照明が変わりますよ」と教えてくれたのは、お部屋お部屋の監視員をしているスタッフの方。訪れるたびに思うのだけど、ここのスタッフの方々感じいいな。なんだかいかにも地元の善意が溢れている感じです。今回の展示のハイライトは、作家がよく作る「ひと」のちいさな彫刻を、変形の大きなテーブルに並べた作品。それぞれのちいさな「ひと」が、それこそソーシャル・ディスタンスを思わせる距離を取り、思い思いの方向を向いてたたずんでいる。それぞれのからだの表面まるごとで、自分の位置から遠かったり近かったり、いろんな距離にいるほかの「ひと」の生きる気配を感じ取りながら、関わりあいながら、生きている、この世界のありようを見せてくれているようで、それが作家の世界像を表現しているようで、ちょうどいまの時期に見るべき展示ではないかと思わせました。
内藤礼さん。個々の作品はいろんなところで見てきたけど、なんといっても圧倒されたのは、瀬戸内の豊島にある「母型」という作品。がさつで粗忽なわたしは、あちこちから湧き出て思い思いの方向に流れ、それぞれの水系を作っていく水を踏んづけたりしてしまうのけど、その世界をまた体験しに何度でも行きたいと思う。ここ数日の大雨禍、いくつもの河川が氾濫してたくさんの方々が被災している。本当にお気の毒です。気候変動もあってか毎年毎年どこかで大水が出るようになったこの国で、きっともっとふだんから水との関わりあいを見直して気をつけていかないといけないんだろうなあとも思う。
内藤礼さんの作品に関してもう一つ言うと、最近よく目にするHSP(Highly Sensitive Person)というターム。心理学や精神分析やらの世界でようもまあ次々といろんなタームを発明するもんだと思うけど、これで救われる人がいるのならまあいいんじゃないかと思う。自分の「生きづらさ」に、なにか名前を付けてもらったわけだから。内藤礼さんの世界なんて、まるきりこれだもんな。HSPという概念を知ったのは、知人のひとりからだったけど、その彼女は相当高レベルでこの症状にあたるらしい。とはいえ、いろんな解説本などを見ると、わたし自身もその知人ほどではないけれど、中程度のHSPにあたるかもしれない? でもある本にある説によれば5人に一人がそれなんだそうで、だったらわたしも普通にそれやん! それどころか、わたしの親しい知人友人見渡してみて、それじゃない人(センシティブではない人)の方が少ないぐらいなんちゃん?と思うと、これってなんなん?とも思う。とはいえ、まあ中程度のSensitive Personとしてのわたしの感性からも、内藤礼さんの世界はほんとうに快くて、ホッと安心できて、世界がこれほど繊細であってくれれば(というかこれほどの繊細な感性に敬意を払ってくれれば)と、思います。
そして今日は、天王寺大阪市立美術館「フランス絵画の精華」展。これはもともと行く予定してなかったけど会期が延びたし、まあ見てみようかなと。17世紀から19世紀まで「フランス絵画」と言ったときのフランス絵画の王道の流れが辿れて、充実した展示でした。特にデッサンが良かったな。このあたりの画家たち、なにかその名前と様式だけで見てしまいがちだけど、それぞれの画家らのそれぞれの個性や資質がデッサンにふと出る感じがして思いがけなく良かったです。
あと、伊丹とか姫路とか京都とか行きたい特集展いっぱい。今月中に行けるかな?
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それにしても新型コロナ、東京でまた200人超えだという。大阪でも30人超え。首都圏と近畿圏で緊急事態宣言また必要なんちゃん? いや、しかし、自粛自粛と喧しく言ってたわりにステイホームの効果が実は怪しいとも聞く。(素直に蟄居生活してたのに・・)。「夜の街」とはいかにも差別的な呼ばわりかたではあるが、しかしやっぱり難しいだろうなぁとは思う。映画館とか美術館とか基本的に一人一人黙って鑑賞してるだけとはちがって、近接しておしゃべりしたりすることが商売の中心になるだろうから・・。今はやたらめったら警戒が過ぎるだろうという場所と、もっと警戒した方がええんちゃん?てところが混在してるので、それをなんとかしないといけないのではないかと思う。思い切ってもっと補償を出して、やっぱり閉めるところは閉めた方が・・。とりあえず首都圏と近畿圏の人たちはよその地域に行ったりしない方がええんちゃう? そういうときに政府はGoToキャンペーンとか訳のわからないことし始めておるが・・。世界的にもアメリカとかブラジルとかあまりに警戒しなさ過ぎでまだまだ拡大続きそうな地域もあるし・・。ヨーロッパはどうする?最初の頃のように厳しいロックダウンはやらないにせよ、また二次感染に備えて部分的にロックダウンをするんだろうか・・? 何よりもこの鬱陶しいマスク生活をいつまで続けないといけないのか? このコロナ禍が、収束したといえるのはいつになるのかわからないけど、ほんとに最後の最後までどうなることやらわからない。